うまい焼酎を探して

うまい焼酎を探し求めて旅しています・・・

伊七郎

桜の開花まであと少しですね。

芋焼酎伊七郎」です。

鹿児島県阿久根市栄町の鹿児島酒造さんの、黒瀬杜氏伝承蔵の一品になります。

醸されるのは鹿児島酒造さんですが、株式会社海連さんのPBとなっております。

鹿児島酒造さんの焼酎は、以前に麦焼酎大島」をご紹介させていただきました。

大島」はロースト麦の芳ばしさのある、自分のお気に入りの一つのうまい焼酎です。

芋焼酎には他に「やきいも黒瀬」や「阿久根」といった銘柄があり、「大島」も含め黒瀬杜氏である黒瀬安光氏が手掛けられているようです。

ラベルの文字は、黒瀬安光氏の娘さんの直筆なんだそうです。

とても味わいのある文字ですね。

伊七郎」は、故人志村けんさんが生前こよなく愛されていた芋焼酎としても有名なようので、その味わいがどのようなものなか楽しみであります。

使用されている黒麹NK菌なんですが、安光氏の手により復活された麹なんだとか。

原料には鹿児島県産の黄金千貫を使用、蒸留後に氷点下で貯蔵された二年貯蔵と三年貯蔵の原酒をブレンドして、アルコール度数を25度に調整された焼酎であります。

 

それでは開栓してみましょう。

香りはといいますと、少し柑橘系を思わせるような爽やかな芋の香りですね。

花粉で鼻がやられかけていますが、いい香りです。

今宵もロックでいただきます。

口に含みますと、まず優しい芋の甘さがしっかりと広がります。

口当たりは、熟成酒らしいとても円く優しい感じです。

そして芋の甘さが口の中に広がるなか、やがてほんのりとした辛さがフェードインしてきます。

後味は甘さと辛さがバランスしながら直線的に伸びていって、辛さは先にフェードアウトしますが甘さは伸び続けます。

最後は甘さにしっかりとした芋のコクがふわりと調和して、心地よい余韻が残ります。

ほうほう、これはなかなかうまいですねぇ・・・

黒麹仕込みの焼酎ではありますが、ガツンとしたインパクトやキリッとした辛口ではなく、全体的に穏やかでやさしく芋の甘みがしっかり味わえるうまい焼酎だと思います。

熟成酒らしい円く優しい口当たりですが、甘さや辛さと芋のコクの重厚さは黒麹らしさがしっかりと表現されているのではないかと思います。

実に繊細かつ多彩な味わいだなと感じました。

今回初めて鹿児島酒造さんの芋焼酎を試しましたが、「伊七郎」の味わいにとても驚きました。

芋という原料を、芋焼酎の中に強くそして優しく表現されている・・・黒瀬杜氏のなせる業を少しだけ垣間見ることができた気がします。

これからも黒瀬杜氏の素晴らしい技術が受け継がれて、飲み手を唸らせてもらえることを切に願っています。

 

 

 

 

 

 

長雲 一番橋

今年も早、2月が終わろうとしています。

遅ればせながら、本年もどうぞよろしくお願いします。

2024年の最初にご紹介する焼酎は、黒糖焼酎長雲 一番橋」です。

鹿児島県大島郡龍郷町の山田酒造さんの一品になります。

山田酒造さんは、昭和32年創業の蔵で親子2代の家族4名で営まれておられます。

代表銘柄「あまみ長雲」をはじめ、黒糖焼酎をご家族でコツコツと手造りで醸しておられる蔵です。

長雲 一番橋」は、三代目が帰島された後に改良を重ねて造られた焼酎のようです。

蔵は長雲山系のふもとにあり、仕込み水、割水ともに長雲山系の地下水を利用されておられます。

新しい黒糖焼酎を試すのは昨年の夏以来とあって、ちょっと楽しみですね。

1次仕込みは甕仕込み、米麹・白麹仕込みで常圧蒸留で醸された焼酎であります。

アルコール度数は30度となっています。

 

それでは開栓してみましょう。

香りはといいますと、黒糖のあま~いなんともよい香りがしっかりと漂います。

この香りが好きなんですよね~

今年もすでにスギ花粉の飛散が始まっていますが、現在のところ有難いことにまだ鼻は大丈夫です(笑)

 

今日はちょっと冷えますが、いつものロックでいただきます。

口に含みますと、まずほんのりとした黒糖の甘みが広がります。

口当たりは白麹らしい円く、優しい口当たりですね。

黒糖のほんのりとした甘みとコクが直線的に広がる中、今度はドライビターな味わいがフェードインしてきます。

後味は甘みとコク、辛さとほろ苦さが四位一体となって伸びて、ややドライビターな風味が勝りながら、最後に黒糖のコクが鼻に抜けます。

おぉぉぉ!うまいですねぇ~

全体的には白麹の焼酎らしい円く優しい味わいなんですが、黒糖のほろ苦さを実に絶妙にうまく表現されているうまい焼酎だと思います。

アルコール度数は30度とやや高めですが、度数を感じさせないやわらかさでするりと飲めるのもよいですね。

山田酒造さんの黒糖の風味を最大限に焼酎の中に閉じ込める業が、とても光りますね。

黒糖焼酎も醸す蔵によってその味わいが様々なので、それを味わえる醍醐味を実に面白く感じます。

山田酒造さんには、これからも飲み手を楽しませていただける焼酎造りに期待したいですね。

 

今年もまた、とてもうまい焼酎からスタートすることができました。

この一年もどんなうまい焼酎に出逢えるかとても楽しみです。

ボチボチの更新になると思いますがよろしくお願いします。

 

昨年末から、ロックで焼酎を楽しむためのグラスを新調しました。

シンプルなカットグラスではありますが、江戸切子のグラスです。

とても気に入って使っています。

 

 

蔓無源氏

早いもので、今年もあと十日ほどとなりました。

本日ご紹介するのは、芋焼酎蔓無源氏」です。

鹿児島県霧島市国分の国分酒造さんの一品です。

国分酒造さんの焼酎は、以前に芋焼酎いも麹 芋」をご紹介させていただきました。

いも麹 芋」はその名の通り芋麹仕込みで、すっきりとした味わいにドライな風味がじわりとくるうまい焼酎でした。

そして「蔓無源氏」ですが、こちらはまず国分酒造さんの大正時代の造りを再現したいとの思いから造られています。

その元となった焼酎が芋焼酎大正の一滴」。

大正当時に芋焼酎造りに黒麹が定着したころ、黒麹を長く培養した”老(ひね)麹”を使って仕込まれていたことから、国分酒造さんが同じ老麹で仕込むことでまず醸されたのが「大正の一滴」です。

ところが「大正の一滴」は、芋焼酎造りにおいて現在とてもポピュラーとなっている黄金千貫が使用されていました。

そこで国分酒造さんでは、今度は原料芋から大正時代の造りにこだわりたいと思いから、当時盛んに生産されていたサツマイモである”蔓無源氏”を原料に選ばれたとのことでした。

しかしそのとき蔓無源氏はすでに絶滅状態にあり、わずか10本の苗を入手しそれを地元農家の谷山さんに託して栽培を始めたそうです。

栽培を始めて焼酎造りができるまでの収量になるまでまず3年、黄金千貫と混ぜながら仕込みを始め、全量蔓無源氏で仕込めるまでさらに5年かかったようです。

大正時代へのものすごいこだわりと思い、そしてとてつもない根気ですね。

本当にすごいです。

そして平成25年以降販売されたものは、霧島産の長粒米である夢十色を麹米として使用されています。

大正時代の焼酎の再現にとことんこだわられて醸された「蔓無源氏」、その味わいがどんなものなのか・・・とてもワクワクしますね。

黒麹(老麹)仕込み、常圧蒸留でアルコール度数は26度に調整された焼酎であります。

 

それでは開栓してみましょう。

香りはといいますと、爽やかなどことなく柑橘系を思わせる甘い香りです。

いい匂いですね。

寒波で今夜はしんと冷えますが、ロックでいただいてみましょう。

口に含みますと、まず穏やかな芋の甘みが最初に口いっぱいに広がります。

口当たりは優しい感じですね。

やがて広がる甘みの中にドライな風味がフェードインしてきます。

後味は、ほんのりとした甘さとドライな風味が直線的に広がり、最後の最後に優しい芋のコクとドライビターな余韻。

その後にスッとキレていきます。

おぉぉ・・・うまいですねぇ。

全体的には黒麹の焼酎らしいややドライな味わいの構成ですが、ほんのりとした甘さは最後までしっかりと伸びて、甘さと辛さがバランスよく調和しています。

そして芋のコクの余韻の後のキレの良さが、なんとも心地良いうまい焼酎だと思います。

大正時代の人たちは、こんなうまい焼酎を楽しまれてたんですね。

蔓無源氏」を味わいながら、大正時代にタイムスリップと言いたいところですが、国分酒造さんの想いがあまりにすごすぎて、正直泣けてきてしまいました・・・

蔵人のすべてが注ぎ込まれ結晶化された焼酎、飲み手として味わえることは幸せであり、この上なしだと思います。

焼酎の奥深さをあらためて実感です。

 

 

2023年にご紹介する焼酎は、これで最後になります。

今年もまた、うまくて素晴らしい焼酎で最後を締めくくることができ、とても嬉しく思っております。

またこれまで当ブログへお越しいただきましたこと、大変感謝しております。

来年もまた、どんなうまい焼酎に出逢うことができるかとても楽しみにしています。

更新ペースは相変わらずゆっくりになりますが、来年もまたどうぞよろしくお願い致します。

 

 

 

 

 

 

 

熊八伝説

秋も深まってきましたね。

麦焼酎熊八伝説」です。

大分県臼杵市の久家本店さんの一品になります。

久家本店さんの焼酎は、これまで麦焼酎常蔵」、「ほげほっぽ」をご紹介させていただきました。

どちらも常圧蒸留の麦焼酎で、芳ばしい麦の風味と甘みの中に久家本店さんならではの独特なコクが感じられるうまい焼酎でした。

今日ご紹介する「熊八伝説」も常圧蒸留となっています。

銘柄名にある”熊八”ですが、別府観光の祖であり日本で最初にバスガイドさんを考案した油屋熊八さんに因んだものなんだそうです。

別府はすばらしい温泉の街で、自分もとても好きな所です。

実は先日、温泉を楽しむために再び別府を訪れて、この「熊八伝説」を入手した次第であります。

原料の麦は「常蔵」と同じくオーストラリア産の大麦を使用、麦麹仕込み、常圧蒸留で醸され、竹炭濾過し1年以上熟成された焼酎であります。

 

それでは開栓してみましょう。

香りはといいますと、ほんのり麦の甘いといいますか、久家本店さんの麦焼酎らしい独特な香りです。

秋の夜長を楽しみながら、今宵もロックでいただきます。

口に含みますと、まずトロンとした麦の甘みが広がります。

口当たりは優しく円い感じですね。

おそらく白麹ではないかなと思います。

後味は麦の甘みがゆっくりと直線的に伸びながら、やがて久家本店さんならではのあの独特なコクが広がっていきます。

最後はごくほんのりとロースト麦の芳ばしさが鼻を抜けながら、独特なコクとほんのりビターな余韻を残します。

う~ん、うまいですねぇ・・・

全体的には雑味も少なく、円い口当たりの優しい味わいでまとめられている感じです。

ですが常圧蒸留らしい味わい深さがあり、なんといっても久家本店さんならではの独特なコクがなんともクセになるうまい焼酎であります。

常蔵」と「ほげほっぽ」であれば、どちらかといえば「常蔵」の方に味わいは近いかなと思います。

個人的には、独特なコクがしっかり味わえる「ほげほっぽ」の方が好みでしょうか。

コクの好みはあると思いますが、麦チョコ風味を好まれる方にはよいのではないかと思います。

今回「熊八伝説」を試して、久家本店さんの麦焼酎を久しぶりに味わいました。

今度はまた「ほげほっぽ」を試して、独特なコクを存分に楽しみたくなりました。

思い出すとクセになる味わいです。

久家本店さんは、そんなうまい焼酎を醸されていますね。

 

 

別府を訪れたとき、マリーンパレス水族館うみたまごもリピートで訪れました。

クラゲの水槽は、ライトの色を変えながらの演出で何度見ても癒されます。

 

こちらはクマノミ、美しいですね。

うみたまごは何度訪れても飽きさせない、素晴らしい水族館です。

 

茶房 大海庵

少しずつ秋の気配を感じるようになってきました。

芋焼酎茶房 大海庵」です。
鹿児島県は鹿屋市白崎町の大海酒造さんの一品です。

大海酒造さんは、創業は1975年となっています。

比較的あたらしい蔵ではありますが、1967年に地域の9つの蔵が協業して設立されていて、各蔵で長い時間培われてきた知恵や技術が今も伝承されているそうです。

大海酒造さんの焼酎といえば、芋焼酎さつま大海」をはじめ「」シリーズや「くじらのボトル」シリーズなどがよく知られていると思います。

当ブログでは、かなり以前に麦焼酎香大」をご紹介させていただきました。

さて今回ご紹介する「茶房 大海庵」ですが、しぶ~い深いグリーンのラベルと”茶房”の文字から、緑茶を彷彿とさせる感じになっています。

まさにその通りで、二次仕込みに緑茶が使用されている芋焼酎です。

使用されている緑茶は、志布志市有明町の「和香園」で有機栽培されたものだそうです。

使用するサツマイモも、すべて大隅半島の契約農家さんの栽培されたもののようで、原料にもとてもこだわっておられます。

もともとは2017年に「大海お茶娘」として発売され、「茶房 大海庵」はそのリニューアルとなっているようです。

ここで緑茶を使用された芋焼酎といえば、以前に同じ鹿児島県の知覧醸造さんの芋焼酎知覧 Tea酎」をご紹介させていただきました。

緑茶の香り甘みほろ苦さと芋の甘みが絶妙にマッチした、実にうまい焼酎でした。

大海酒造さんは、緑茶と芋を「茶房 大海庵」で一体どのように表現されているのか・・・

もうワクワクがとまりません。

原料のサツマイモには紅はるかが使用され、白麹・米麹(国産米)と有機茶葉仕込み、常圧蒸留で醸された芋焼酎であります。

 

それでは開栓してみましょう。

香りはといいますと・・・しっかりとした緑茶の甘さと芋のフルーティーな甘さがコラボしてふわりと漂います。

なかなかよい香りです。

すっかり涼しくなってきた今宵も、ロックでいただきます。

口に含みますと、まずとても優しい甘みが広がります。

緑茶の甘さのような、芋の甘さのような、なんとも言えない感じです。

口当たりは、白麹らしい優しく円いですね。

そして広がる甘みの中、すぐに緑茶のほろ苦さがフェードインしてきます。

後味は優しい甘さとほろ苦さのコラボ、ややほろ苦さが支配的な感じで直線的に伸びていきます。

そして最後は緑茶の風味がふわりと鼻を抜け、スッとキレていきます。

おぉぉぉぉ!うまいですねぇ~

全体的な味わいは、白麹らしいとても円く優しい味わいにまとめられています。

芋焼酎ではありますが、緑茶の甘みとほろ苦さをうまく融合させて、芋焼酎というカテゴリーから別次元に昇華しているうまい焼酎だと思います。

茶房 大海庵」を試してみて、焼酎って本当にすごいなと改めて実感です。

”緑茶”と”芋”をこんな形で融合し結晶化できるなんて、素晴らしい技術だなと思います。

大海酒造さんの業に脱帽ですね。

茶房 大海庵」を常備しておきたいなと思うとともに、これから大海酒造さんの焼酎をいろいろ試してみたいなと思います。

 

 

最後に、大海酒造さんの「茶房 大海庵」と知覧醸造さんの「知覧 Tea酎」、それぞれの味わいの表現がどう異なるのか飲み比べてみました。

どちらも見事に緑茶と芋のそれぞれの旨味を融合されていますね。

それぞれ白麹の焼酎で、口当たりはとても優しく円くすっきりとしています。

どちらかといえば、「茶房 大海庵」の方が甘みがしっかりしていて「知覧 Tea酎」の方はやや辛口な印象でしょうか。

このへんは飲み手によって好みが分かれると思いますが、自分はどちらも味わう価値が

十分にあると思います。