うまい焼酎を探して

うまい焼酎を探し求めて旅しています・・・

たちばな

2019年もあと数日となりました。

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芋焼酎たちばな」です。

宮崎県児湯郡高鍋町黒木本店さんの一品です。

黒木本店さんの焼酎は、麦焼酎では「中々」、「山猿」、「百年の孤独」を芋焼酎では「㐂六」、「㐂六 冬期限定新酒」、「天嵐坊」を米焼酎では「野うさぎの走り」を以前に紹介させていただきました。

黒木本店さんの焼酎は、麦、芋、米とどれもレベルが非常に高く、うまい焼酎を造られている蔵であります。

今回ご紹介するのは、黒木本店さんのレギュラー芋焼酎である「たちばな」になります。

銘柄名の”橘(たちばな)”は、日本固有のカンキツ類で自生しているものは国の天然記念物なんだそうです。

レベルに描かれている木が、その橘ですね。

さらに”野に咲くたちばなの花に似て清く真白く淡く美し”とあります。

どんな味わいなのか、とても楽しみですね。

芋焼酎㐂六」は黒麹、米麹(米はミナミユタカ)でしたが、「たちばな」は白麹、米麹(ヒノヒカリ)となっています。

芋はどちらも同じ黄金千貫、甕仕込みで常圧蒸留で醸された焼酎であります。

 

それでは開栓してみましょう。

香りはといいますと、ほのかに甘くどことなくカンキツ類を思わせる感じです。

今宵も定番のロックでいただきましょう。

口に含みますと、ほんのりと芋の甘味がおだやかに広がります。

口当たりはとても円みがあり、白麹らしい優しさです。

やがて甘味の中から辛味がフェードインしてきます。

後味は甘さと辛さが絶妙にコラボしながら直線的に広がります。

最後はやや辛さが勝りながらすっとキレて、芋の香りがふわっと鼻に抜けます。

う~ん、なかなかうまいですねぇ。

全体的な味わいは、芋芋しさは控えめで円く優しい感じです。

甘さと辛さのバランスがほどよく、ふわりと鼻に抜ける芋の香りがなんとも心地良いうまい焼酎であります。

ガツンと強い飲み応えや強いクセはないので、すっきりと芋を味わいたい方にオススメの芋焼酎であります。

個人的には、こんな味わいの芋焼酎は好みでありますね。

 

ここで芋焼酎㐂六」と飲み比べてみました。

味わいは「㐂六」の方が辛口が強く、ややインパクトがありますね。

こちらは黒麹らしいというべきでしょうか。

しかしながら「㐂六」も基本的に強いクセがないですから、どちらも優しい味わいの焼酎ですね。

 

今回「たちばな」を試してみて、あらためて黒木本店さんの焼酎のレベルの高さを実感しました。

黒木本店さんには、これからも焼酎ファンを唸らせるべく焼酎造りに精進していただければと思います。

 

今年ご紹介する焼酎は、これで最後になります。

2019年の最後を、今回もまたうまい焼酎で締めくくることができました。

来年もまたうまい焼酎探しを、ぼちぼちながら旅してまいります。

今年一年、当ブログを訪れて下さった方々に大変感謝しております。

どうぞ良い年をお迎えください。

 

ネリヤカナヤ

今年も残りあと1か月ちょっととなりました。

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黒糖焼酎ネリヤカナヤ」です。

鹿児島県は大島郡宇検村奄美大島開運酒造さんの一品です。

奄美大島開運酒造さんは、昭和29年に戸田酒造所として創業開始された酒造さんです。

宇検村へは平成9年に移転され、人口約2000人のおだやかな村の村興しをかけて新たに焼酎造りをスタートされたようです。

代表的な銘柄は黒糖焼酎れんと」で、こちらの方が見かける機会が多いのではと思います。

れんと」はクラッシク音楽による1年間の音響熟成、「ネリヤカナヤ」は100%宇検村産の黒糖仕込みで音響熟成はせず2年間の長期熟成となっているようです。

その他に黒糖の仕込み量を通常の2割増し、仕込みは三段に分けて発酵するなどなかなかのこだわりを持って造られているようです。

ラベルもさとうきびの絞りカスであるバガスを使った、バガス紙となっているようです。

透き通ったブルーボトルは、きっと奄美大島の美しい海をイメージしたものなのでしょうね。

ちなみに銘柄名の”ネリヤカナヤ”の意味は、奄美の言葉で”海のかなたの楽園”。

とても素敵ですね。

裏ラベルには、この黒糖焼酎についてや代表杜氏の「渡 悦美(わたり えみ)」さんが写真で紹介されています。

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アルコール度数は25度、宇検村産黒糖を原料に米麹・白麹仕込み減圧蒸留で醸され、湯湾岳の伏流水仕上げで2年熟成の焼酎であります。

 

栓を開けますと、黒糖の甘い香りはごくごくほんのり程度に抑えられています。

それでは、定番のロックでいただいてみましょう。

口に含みますと、黒糖の甘味がごくごくほんのりと穏やかに広がります。

後味もごくほんのりとした黒糖の余韻、あっという間にすっとキレていきます。

いや~実にすっきりとした飲み応えですねぇ。

全体的な味わいは、白麹仕込み・減圧蒸留ならではのすっきりとした全くクセのないものとなっています。

こんなにすっきりとした味わいの焼酎は、久しぶりですね。

透き通ったブルーボトル、まさに澄みきった奄美大島の海のようです。

 

ふと、黒糖で親子飲みを試してみました。

あれっ・・・もっとすっきりな味わいになってしまいました(笑)

これまで黒糖焼酎の親子飲みは黒糖の風味が一層強まるイメージでしたが、今回は全く逆の結果でこれもまたとても面白いですね。

これはこれで十分にうまいです。

 

個人的には、常備している「龍宮」のように黒糖風味をふんだんに味わえる黒糖焼酎の方が好みですが、「ネリヤカナヤ」は対照的によりすっきりとした味わいを好まれる方にオススメの黒糖焼酎であります。

黒糖焼酎ネリヤカナヤ」を試してみて、まだ訪れたことのない奄美大島へ行ってみたい気持ちがとても強まりました。

黒糖焼酎の故郷とも言える奄美大島、現地で味わう黒糖焼酎ほど感動的なものはの無いのではと思います。

いつか奄美の美しい海を眺めながら、奄美黒糖焼酎を味わってみる・・・・そんな夢を叶えてみたいです。

 

秋吉台

秋も少しずつ深まってきました。

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 麦焼酎秋吉台」です。

久しぶりに、ご当地焼酎のご紹介となります。

発売元は、山口県美祢市大嶺町の山口美祢農業協同組合(JA山口美祢)さんとなります。

醸されたのは、福岡県筑後市の西吉田酒造さんです。

いわゆるPBということになりますでしょうか。

西吉田酒造さんの麦焼酎といえば、以前に「釈云麦」、「黒騎士」などをご紹介させていただきました。

西吉田酒造さんの麦焼酎は、どれも重厚で芳ばしい麦チョコ系のうまい焼酎の印象が強いですね。

今回も西吉田酒造さんの一品なので、とても期待がもてるところであります。

原料の麦は、JA山口美祢生産者が真心こめ栽培したものを厳選されたはだか麦ということです。

麦麹も同じはだか麦ということで、JA山口美祢さんの地産に対するこだわりを感じますね。

さて銘柄名の”秋吉台”ですが、山口県美祢市の中東部に広がる日本最大のカルスト台地のことになります。

カルスト台地とは石灰岩のような水に溶解しやすい岩石で構成された台地をいうようで、”秋吉台”も数十メートルから千メートル以上のとてつもない分厚い石灰岩で構成されています。

秋吉台”は山口県の内陸ではありますが、太古の昔はそこは海底で石灰岩のもとはサンゴ礁だったようです。

地殻変動により、海底が隆起しこうなったとか・・・不思議な感じがします。

さらにその地下には長い年月の浸食により、秋芳洞、大正洞といった巨大な鍾乳洞が形成されています。

現在は国定公園かつ特別天然記念物となっていて、県内外から多くの観光客が訪れる山口県内の名所の一つとなっている所です。

ラベルに描かれたグリーンは、その”秋吉台”をイメージされたものとなっています。

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上の2枚は秋吉台で撮影したものです。

台地は広大な草原ですが、秋に入っていたのでススキの穂が見られますね。

ラベルの下の方に描かれた白い粒粒は、たぶん地表にむき出しになった石灰岩だと思います。

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近づくと、こんな感じです。

春先には山焼きが行われ初夏には青々とした草原が広がり、写真でうまくお伝えできませんが、とても爽やかな解放感を最高に味わえる所です。

 

おっと、当ブログは山口県の観光名所をご紹介するブログでなく、うまい焼酎をご紹介するブログなので本題にもどります。

JA山口美祢さんでは、この「秋吉台」の他に米焼酎晴るる」、栗焼酎「あつ」が販売されています。

米も栗もそれぞれ原料は美祢産のものとなっているようです。

麦好き故に今回は、麦焼酎秋吉台」をチョイスしました。

原料と麦麹に美祢産の厳選されたはだか麦を使用されていること以外は、残念ながら蒸留方法や熟成条件などがよくわからない焼酎であります。

 

それでは開栓してみましょう。

香りはといいますと、麦らしい甘くよい匂いがします。

今回も定番のロックでいただきます。

口に含みますと、穏やかに麦の甘味まず広がります。

甘味はほんのりとしていて、やがてドライビターな味わいがフェードインしてきます。

後味は甘味よりドライビターな風味がやや勝りながら、割とスッとキレていきます。

最後はごくほんのりと、スモーキーな麦の芳ばしさが鼻に抜けていきます。

う~ん、うまいですねぇ。

率直な印象は、西吉田酒造さんの麦焼酎らしい味わいの構成になっているな~という感じです。

西吉田酒造さんの焼酎を久しぶりに飲んだのですが、麦の香り、甘味、ドライビターな味わいの造り込みに、あ~これだこの味わいだとすぐに感じました。

全体的にはガツンと強い飲み応えではなく、どちらかと言えば円く優しい仕上がりになっています。

準麦チョコ風味といったところでしょうか、個人的には好みの味わいです。

西吉田酒造さんの麦焼酎はこれまで割りと個性の強いものをチョイスしていたので、実は「秋吉台」のような焼酎もきっと醸されているのでしょうね。

JA山口美祢さんと西吉田酒造さんとはどういうご縁であったかはわかりませんが、麦焼酎秋吉台」という形でうまい麦焼酎を楽しむことができました。

JA山口美祢さんの地産に対する思いを、西吉田酒造さんがしっかりと汲み取っておられると思います。

山口県美祢市の大地で育まれたはだか麦を、西吉田酒造さんの見事な技で結晶化された麦焼酎秋吉台」。

県民としても、ぜひ一度試していただきたい焼酎だと思います。

 

 

MADURA BLACK

ずいぶんと涼しくなり、秋の気配のする今日この頃です。

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麦焼酎MADURA BLACK(マドラ ブラック)」です。

”脱藩黒蝶統の会”プロデュースのボトルになります。

”脱藩黒蝶統の会”でプロデュースされた作品は、以前に麦焼酎脱藩黒蝶 忠義」をご紹介させていただきました。

脱藩黒蝶 忠義」は、9年熟成で深みのあるなかなかうまい焼酎でした。

本日ご紹介する「MADURA BLACK」ですが、こちらを醸されたのは大分県臼杵市の藤居酒造さんになります。

藤居酒造さんといえば、麦焼酎ふしぎ屋」、芋焼酎のみちょれ」などを以前にご紹介させていただきました。

特に「ふしぎ屋」はほんのり麦チョコ風味のうまい焼酎で、自分のお気に入り麦焼酎の一つであります。

しかしそれにしても「MADURA BLACK」は、なんともおどろおどろしいラベルですね。

樫樽を抱きしめているのは、”サタン”だそうです。

飲み手を堕落させてしまうほどに、”美味い酒”であることを意味しているようです。

これはもう恐ろしくて飲めません(笑)・・・・とはいかないので飲みます。

ちなみに”MADURA”はスペイン語らしく、”熟成、熟す”という意味のようです。

つまり訳せば「熟成 黒」。

あっ、なんだかぜんぜん怖くないですね(笑)

しかしその名の通り、洞窟甕貯蔵14年熟成品と樫樽貯蔵15年熟成品をスペシャブレンドして仕上げられています。

う~ん、これまた長期熟成酒ですね。

おまけに樽・甕熟成とはすごい・・・”脱藩黒蝶統の会”の気迫が感じられます。

オーストラリア産のスターリング種という大麦を原料に、麦麹仕込み常圧蒸留で醸され、アルコール度数30度とやや高めに仕上げられた焼酎であります。

 

それでは、開栓していただいてみましょう。

香りはといいますと、ほんのりと甘く麦というよりはフルーティーな香りです。

では今宵も定番のロックでいただきます。

口に含みますと、ほんのりとした極弱い甘味がまず広がります。

口当たりは長期熟成らしい優しさで円く、アルコール度数の高さを全く感じさせません。

甘味は極弱いながらも粘り強く、やがて独特なコクがフェードインしてきます。

後味は甘味と独特なコクをほんのり残しつつ、わずかに麦の芳ばしさを感じながらスッとキレていきます。

う~ん、実に上品な味わいですねぇ・・・・

全体的にじつに優しい、全く尖ったところを感じない仕上がりとなっています。

この優しさは、10年以上熟成の為せる業、まさに時の魔法と言えるのではないでしょうか。

しかしながらほんのりとした甘さとコクはじっくりと味わえ、最後にスモーキーな麦の芳ばしさをちょっとだけ垣間見ることのできるうまい焼酎だと思います。

ラベルやボトルの雰囲気とはちょっと対称的で、とても優しく繊細な味わいというのが率直な印象です。

気づけばスルスルっと飲んでしまい、すっかり酔いがまわってしまいました。

ふと、ラベルの”サタン”がニヤリと笑った気がします。

その”サタン”も、実は”脱藩黒蝶統の会”の手先なのかもしれませんね・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

朝倉

大型台風が接近中ですね。

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麦焼酎朝倉」です。

福岡県は朝倉市の(株)篠崎さんの一品です。

(株)篠崎さんの焼酎は、以前に麦焼酎麦一献」をご紹介させていただきました。

麦一献」は、米麹仕込みで甘さとドライビターな風味が絶妙なバランスのうまい焼酎でした。

今回ご紹介する「朝倉」は、実は自分の福岡県の親友からプレゼントしていただいたものです。

麦焼酎といっても、瓶の形や木製の蓋からどうみてもウィスキーのような雰囲気がしますね。

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裏ラベルを見ますと、なんと”リキュール”となっております。

この「朝倉」は、9年以上(最近は6年以上)樫樽で熟成されたアルコール度数40度の原酒となっています。

樫樽での長期熟成により濃い琥珀色になり、アルコール度数と色味から”焼酎”の規定から外れ、焼酎としては販売できないそうです。
 しかし(株)篠崎さんは、この原酒に手を加えることなくそのまま飲み手にお届けしたいとの強い思いから、あえて”リキュール”とされたとのことです。

詳しいことは、とても質感のある箱に記載があります。

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正直飲み手としましては、カテゴリーうんぬんよりも味わいを優先いただいたことにとても嬉しい限りです。

表ラベルには瓶詰のLot No.がありますが、裏ラベルには樽No.と熟成開始年度の記載があります。

樽No.7274で貯蔵開始が2008年11月となっています。

う~ん、きっと蔵にはものすごい数の樫樽がありそうですね。

熟成は瓶詰後も含めると、10年強というところでしょうか・・・

すごいですね。

樽ごとに瓶詰されているわけですから、「朝倉」は樽ごとにまた違った味わいを楽しめて、そこがまた醍醐味でもあるようです。

どんな味わいなのか、とても楽しみになってきました。

 

それでは開栓してみましょう。

 香りはといいますと、麦のとてもあま~い香りとほのかな樫樽のよい香りがします。

いつまでも嗅いでいたくなるとてもよい香りですね。

それでは定番のロックでいただいてみましょう。

口に含みますと、まず麦のしっかりとした甘さ爆発です。

口当たりは熟成酒らしい柔らかさですが、原酒なので結構パンチがあります。

やがて広がる甘さの中にふわりと樫樽の風味が漂います。

後味はしっかりとした甘さの中にやや酸味を帯びて、最後に極々ほんのりとスモーキーな麦の風味が鼻に抜けます。

おぉぉ!うまいですねぇ~

全体的にはアルコール度数の高さを感じさせない、熟成酒らしい円やかな仕上がりになっています。

しかし実にしっかりとした麦の甘味と樫樽の風味が、とても味わい深いうまい焼酎だと思います。

正直、ジャパニーズウイスキーの一つとして楽しめると言っても過言ではないと思います。

いつか別の樽の「朝倉」と飲み比べして、その味わいの違いを楽しんでみたいなと思いました。

親友からは、とても素敵なプレゼントをいただくことができました。

この場をを借りて、あらためてありがとうという気持ちをお伝えしたいです。

 

先日、久しぶりに地元の花火大会を見物できました。

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 今年は1万発以上打ち上げられて、とても見応えがありました。