うまい焼酎を探して

うまい焼酎を探し求めて旅しています・・・

かぶと鶴見

春の日差しから初夏の日差しへと移り変わりが感じられるようになりました。
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芋焼酎かぶと鶴見」です。
鹿児島県は阿久根市の大石酒造さんの一品です。
大石酒造さんは、明治32年創業以来100年にわたり焼酎を造り続けておられます。
今回は大石酒造さんの”鶴見シリーズ”の中から、「かぶと鶴見」をご紹介したいと思います。
この焼酎の特徴は、なんといっても古式兜釜蒸留器で蒸留されていることにあると思います。

裏ラベルには、古式兜釜蒸留器の図があります。
日本では概ね明治時代まで用いられたようです。
東南アジアの山岳地帯では、いまでも一部地域で同様な方法で蒸留酒が造られているようで、とても手間のかかる原始的な蒸留法だそうです。
大石酒造さんでは、五代目杜氏がこの古式兜釜蒸留器を記した古文書と地元博物館に展示された古式兜釜蒸留器をもとに、見事にこの兜釜を復活されたようです。
五代目杜氏は兜釜を目測するために博物館へ何日も通われ、復元当初はアルコールの抽出ができなかったようですが、幾度の失敗と試行錯誤の末にこの「かぶと鶴見」を商品化できたのことでした。
そしてラベルの文字は、国際的に活躍する書家の八戸香太郎氏の書き下ろしの題字を使用されているようです。
すごいこだわりですね。
五代目杜氏がこだわりぬいた古式兜釜蒸留器により醸された味わいに、興味深々です。
原料の芋は「白豊」が使用されています。
国産米の米麹・白麹で古式兜釜蒸留で醸された焼酎であります。
栓を開けますと、おぉ・・・・
甘いこの香りは芋というよりは、まさしくバナナです。
バナナフレーバーではありませんか!
それでは定番のロックでいただいてみましょう。
口に含む瞬間に、ふわりとバナナフレーバーが香ります。
口当たりは白麹らしい優しさで、ほんのりとした甘味が広がります。
後味はほんのりとした甘味を残しながら、少しドライにキレていきます。
そして最後に鼻に抜けるのは、檜の香りです。
おぉ!これはうまいですね〜
最後の檜の香りの余韻は、蒸留釜に使用されている檜樽由縁の香りなんでしょうね。
実に心地がよいです。
バナナフレーバーに始まり、芋のほのかな甘みとドライなキレを楽しみながら、最後は檜の香りの余韻で締める・・・
なんとも贅沢な味わいのうまい焼酎であります。
大石酒造さんの五代目杜氏が、なぜこの古式兜釜蒸留器に熱い思いを注がれたのか・・・それを少しだけ垣間見ることができた気がします。
大石酒造さんには、ころからも思いのこもった焼酎で飲み手を唸らせていただければと思います。
”蒸留”という魔法を持つ焼酎は、本当に奥が深いですね。