早いもので、2021年もあと数日となりました。
麦焼酎「千年の眠り」です。
福岡県朝倉市の株式会社篠崎さんの一品です。
株式会社篠崎さんの麦焼酎は、「麦一献」や「朝倉」をご紹介させていただきました。
なかでも「朝倉」は、長期樽熟成の原酒で円やかで麦の甘みの中に樫樽の香りが引き立つ味わいで、今でもとても気に入っています。
本日ご紹介する「千年の眠り」も、長期樽熟成の原酒です。
「朝倉」との違いは、6年以上の熟成酒である「朝倉」に対し、「千年の眠り」は4年以上の熟成酒となっています。
また「朝倉」は樫樽ごとに瓶詰されていますが、「千年の眠り」は熟成期間の異なる数種類がブレンドされたブレンデッド焼酎となっています。
このへんの違いが、味わいにどう表現されているかが楽しみです。
銘柄名には、長い年月福岡をとうとうと流れ続ける筑後川の流れのように、千年の時を超えて飲み継がれる焼酎を育てたいという蔵元の想いが込められているそうです。
千年の時を超えて飲み継がれる・・・とてもロマンティックですね!
蒸留は常圧蒸留ですが、酒質をよりクリアに仕上げるために蒸留は2回されています。
大麦を原料に麦麹仕込み、アルコール度数は40度に仕上げられています。
それでは開栓してみましょう。
香りは麦の甘いよい香りとほのかな樫樽の香りと合わさって、どこかしらバニラのような感じがします。
それではロックでいただいてみましょう。
口に含みますと、まずしっかりと麦の甘みが広がります。
口当たりは、やはり長期熟成酒らしい円い円い優しさがありますね。
直線的な甘みの中に、やがて樫樽の風味がふわりとフェードインしてきます。
後味は、甘みと樫樽の風味が絶妙な調和を織りなし、最後にほんのり酸味と樫樽の風味が鼻に抜けます。
う~ん、うまいですねぇ・・・
全体的には、長期熟成らしい円い優しい味わいです。
アルコール度数の高さを感じさせないですね。
雑味は全くないスッキリとした味わいで、麦の甘さと樫樽の風味の調和が絶妙にうまい焼酎だと思います。
せっかくの機会なので、「朝倉」と表現がどう異なるのか試してみましょう。
樽No.7931 2009年3月~熟成されたものです。
口に含んだときの麦の甘みの爆発感、迫力のあるパンチ、後味の麦の芳ばしさと樫樽の伸びやかな風味・・・う~ん「朝倉」の方がポテンシャルが高いですね。
こちらも、実にうまい焼酎です。
両方を味わってみてあらためて思ったのですが、同じ蔵の原酒でありながらそれぞれの銘柄の目指すベクトルが全く違っていて、正直比較するものではないのではと感じました。
個人的な好みは「朝倉」ですが、どちらを好まれるかは飲み手次第だと思います。
同じ蔵の原酒でも、味わいの違いがあるのはとても面白いですね。
焼酎は本当に奥深く、蔵のいろんな試みを楽しめるのも飲み手の醍醐味だなと思います。
2021年にご紹介する焼酎は、これで最後になります。
この一年間も、いろんな焼酎を楽しむことができました。
来年も引き続き、ボチボチではありますがうまい焼酎探しの旅を続けてまいります。
今年一年、大変お世話になりました。
来年もどうぞよろしくお願い致します。